イーゲルヒュッテ
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イーゲル

  • Author:イーゲル
  • 699円。タイ生まれ。
    瞳は少年、ところによりおっさん。
    すっとこどっこいな文章und日常の切り売り。
    魚の皮、海老の尻尾を好んで食べます。
    リンクはフリーにござい。

    よく出てくる人たち(一部人外)
    相方(夫)、Y氏undH氏(息子)、不踊木偶〈オドラデク〉(不可視舞弄具ペット)。
ごにょごにょ

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2007/08/07//Tue.
Waiting For The 7.18 (『BLOCPARTY』)

『A WEEKEND IN THE CITY』の3曲目
『Waiting For The 7.18』でまことに勝手に二次創作。
歌詞の内容も被ってないしね。(何)

それでも構わないならどうぞ。

こちらで見られるようです。
You Tube BLOC PARTY Waiting For The 7.18
ライブヴァージョンもありました。つい最近のもののようです。
やっぱりラッセル・リサックの髪の毛が気になります。
シャンプー何使っているのかな、って。
(星間航行者御一行様のスターセイラーのように公式サイトで
じゃんじゃん聴けるのって珍しいのか?)

続ク...
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2007/04/01//Sun.
続空中ブランコ乗りのキキ・焼き鳥編

「こんなのキキじゃないやいッ!!」とはらわたが煮えくり返る
方もいるかもしれませんが、あくまで〈遊び〉、です。
それを念頭に置いた上で読み進まれることをお薦めします。
今回のキキは男の子ヴァージョン。


キキも2度目なら~♪もっと上手に…書けているのか?
なんか長くなってしまったわよ。

女の子ヴァージョンはコチラ。続空中ブランコ乗りのキキ

続ク...

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2006/12/17//Sun.
続鰐Ⅴ(文豪に謝れッ企画)

これまでのお話はこちら
続鰐①
続鰐②
続鰐③
続鰐④
職場での上司の笑う様子を思い出し、こみ上げてくるものもあったが、
努めてにこやかに振るまった。
みすぼらしい服装。出発した時とは雲泥の差。どうしたんだろう。
アカーキイ・アカーキエヴィッチを地で行く外套、いや半纏か……。
見事なまでにつぎはぎだらけだ。
賭博でスって来たのだろうか。〈前例〉に無いほどに――
「――お久しぶりですチモフェイさん。いつお戻りになられたんです?」
「セミョーン!ほう、今帰りか。カルルヘンを見に来たんじゃな?」
いえ、鸚鵡ですと正直に答える余裕も与えず彼は矢継ぎ早に続けた。
「イワンが心配じゃろ。何せ鰐と言えば獰猛な動物じゃからな。
今はこうして同居状態が続いている訳じゃが、いつ食べられても
おかしくはない状況には変わりは無いのじゃぞ。
そこでじゃ。ワシがイワンが食べられないように見張ってやろうと
思うのじゃが、どうかの?なあ、どうかのう?この考えは。」
なあ?セミョーン?悪くないじゃろう――
言い寄って来る姿が憎々しい。
心配だったなら、なぜもっと早いうちに言わないのか。
僕に言うより直にイワンに言った方が話が早いだろうに。
「……良いんじゃないですか。近くで見張っていれば、イワンも
話し相手が出来て退屈せずに済みますしね。」
「そうじゃろ、そうじゃろ。」
「でも、……どうせだったら一緒に鰐腹に住んであげる方が
寂しい思いをさせずに済むんじゃないでしょうか。
幸いまだ鰐腹には余裕があるそうですし――必要書類は僕が代筆して
おきますから。……大丈夫ですよ。書洩らしなんてヘマしませんから。
滞在の理由は……異文化交流で構いませんよね。」
一瞬キョトンとした表情になったチモフェイ老。
「…はっはっはっ面白い。冗談が過ぎるぞセミョーン。」
本気だとは思われなかったらしい。
彼があそこに住んでくれればイワンに鰐腹生活を誘われることも
なくなるだろうし、何より今彼と顔を合わせている状況が気を滅入
らせていた。
なら、冗談ということにしておくか。
「すみません。調子に乗ってちょっとふざけちゃいました。」
「んー、それでだな、そのことも含めておぬしと色々話し合いたいと
思ってのう。
これから、おぬしの家で相談するというのはどうじゃ?」
「は?なぜ僕の家でなんです?――別に構いませんが…ここからなら
僕ん家よりもチモフェイさんのお宅のほうが近いではありませんか。
この間おっしゃっていた美味しい紅茶も頂いておりませんし……」
「に、荷物が片付いておらんのじゃ。長旅だったし、向こうで土産を
沢山買い込んでしまっての!」
「家に溢れかえるほど?まあ、それはさすがになさそうですが、
――わかりました。じゃあ、僕の家で――」
……ホッ、良かったわい。
「え、今何かおっしゃいませんでした?」
「何にも言うとらんぞ。空耳じゃ。……セミョーン、おぬしも相当疲れてるんじゃなあ。
幻聴が聞こえるとはのう。そんな日は酒でも引っかけて寝るのが一番じゃて。」
「そうですね。鰐の方も仲良くやってるようですし、今日はもう帰りますか――
ところでその恰好、」
「っ!!……あ、ああ!ルーレテンブルクではこんな恰好が
流行ってるんじゃよ。
向こうでは、わざと新品の服につぎをあてたり、穴の開いたズボンや
コートを着るのが最先端なんじゃよ。どうかの、ワシの恰好は?」
彼の着ているものはどう見ても古着――かなりボロボロのだ――。
「まあ、僕は…おしゃれには疎いんで……。」
寒風吹きすさぶこのロシアでこの〈半纏〉は厳しいだろう。
他の通行者の目が気になったので自分のマフラーを巻くよう手渡すと、
要らんとつき返されること二回。三回目にしてやっと首に巻いてくれた。
そんな紫色の唇で断られる身にもなって欲しいものだ。

帰宅してすぐに暖炉に火を熾すと彼は真ん前に陣取った。
サモワールで紅茶を入れるとティーカップに信じられないぐらい
沢山の杏のジャムを入れ、見ているだけで胸が――こんなに
甘党だったかしらん。
「はあ、温まるのうセミョーン」
封を開けて間もないジャムが壜の中に半分程度しか残っていない。
こっそりジャムをテーブルの下に隠した。
チモフェイは紅茶を音を立てて飲み干すと、ティーカップの底に
沈んだジャムをスプーンで掬って幸せそうな表情で舐めとる。
僕はといえば、ジャムなしの渋い安い紅茶を表情を崩さずに飲むのが
精一杯だった。
「チモフェイさん、先程の話の続きなんですが―――おっと、
誰か来たみたいですね。」
さっきよりも呼鈴の音が一段と激しく聞こえる。急かしているのか?
恐る恐るドアを開けると、見慣れないふくよかな中年女性が立っていた。
「ウチの人ここに居るんでしょ。隠しても無駄よ。
こっそりアンタ達の後をつけてきたんだから。」
荒げはしないものの凄みを感じる低めの声。
見当はついているが、社交辞令的に聞いてみた。
「ええと――失礼ですが、もしかしてチモフェイさんの奥様で?」
「そうだけど……そういうアンタは何よ?」
「私、チモフェイさんの部下で、セミョーン・セミョーヌウィチと
申します。チモフェイさんにはいつもお世話になって……」
「アンタ、あの禿げここに匿ってるの?もしかして?」
「いいえ、今日仕事の帰りにばったりお会いしたんです。
僕の同僚であり、チモフェイさんにとっては可愛い部下である鰐腹の
イワンのこれからを二人で話し合おうってことで、家へ来て頂いた
んですよ。」
「へえ、そうなの。お優しいこと。しばらく家にも帰って来ないで
何しているかと思えば、貴方って本当にお仕事熱心なのね。」
うって変わった優しい声音が背筋を凍らせる。
つま先立ち、横柄に腕を組んで家の奥を覗きこもうと必死だ。
彼女の言動から察するに、しばらく家に寄り付いていないらしい。

続ク...

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2006/08/13//Sun.
続鰐Ⅳ(文豪に謝れッ企画)

続鰐Ⅳでござい。過去の分はこちらです。
続鰐Ⅰ
続鰐Ⅱ
続鰐Ⅲ
「カルルヘンの内部だって?まあ、そうだな一言で言えば
暗い、かな。口を開けてくれれば少し明るくなるけど、
おおむね真っ暗。内部がどうなっているかなんて知らないよ。
暗いから。
でも、だからと言って特に不都合はないし、居心地も良好さ。」

日を改め、イワンにカルルヘンの内部の詳細を聞いた僕は
以前書いた書類にこう書き加えた。
鰐ノ腹中、概ネ暗シ。内部ノ様子、詳細不明ナレドモ、
居心地良好也。


鰐の中は住人のイワンにも不明瞭な所らしい。
カルルヘンが昔食べた動物の骨等が散乱していたら楽園などとは
言えないだろう。何も見えない方が幸福かもしれない。
鰐に呑み込まれて傷一つ負わない、それどころか住んでいることを
知ったら彼のベリンスキイはなんて言うだろう?
そんな莫迦な!非現実じみている!書き直せ!とか?
――現実に起きていることだからしょうがない。
そのまま提出したが、別段何の問題もなく処理され、彼は出張中
の身となった。
イワンの出張届を提出して早二週間が経った。
アーケードへは毎日行っている。鸚鵡に会いに、だ。
「ルンゲウントレーバー」を教え、それを喋るようになって以来
こいつが急に可愛くなってきた。もっといろんな言葉を教えたいと
思って足繁く通っている。
カルルヘンの所へも行くけれど、イワンと言葉を交わすことは
あまりない。もう鰐なんてどうでもいい。

午後5時半。仕事を終えて椅子から立ち上がると、上司に名前を
呼ばれた。何かやらかした?ここ一ヶ月の自分の勤務態度を
頭の中で検めてみたが、思い浮かばない。
恐る恐る上司に尋ねてみた。
「…あ、あのう何か。…仕事で不備でも?そ、それとも」
「――やけにびくついているね。」
「僕が呼び出されるのは、大抵叱られる時ですから。」
叱られるというか怒られるというか、八つ当たりされるというのが
一番適当か。どうやら違うらしい。少々被害妄想が過ぎたようだ。
「セミョーン、怒りはしないよ。それとも…何かやらかしたのか?
冗談だ。イワンは出張中だし、チモフェイも外国へ行ったきりで
帰って来ないだろう。本来なら欠員の補充をするべきなのだが、
人件費も馬鹿にならんだろう。募集をかけたところでどんな
奴が来るかわからないし、使えん奴に給料を払うのはまかりならん
からな。
そこで、だ。君にはこの二人の職務の穴埋めをしてもらいたい。
引き受けてくれたなら君の給料も上げてやる、どうだ悪くない話
だろう?」
イワンと僕は同期だし部署も同じだから、彼の分の仕事が増えても
それほど苦にはならなそうな気がするが、もう一人分、
チモフェイ老人の重要な仕事までやらされるのか。
老は自分の仕事がいかに有益な仕事かをよく聞かせてくれていた。
「イワンの分はどうにかなりそうですが、チモフェイ老の分は
若輩の僕には荷が重いのではないでしょうか。誰か他の方に…」
「荷が重い?はは、チモフェイの仕事はなあ、必要書類に必要な
事項を写字するだけ、それだけだぞ。
こんな仕事、字さえ書ければチモフェイじゃなくたって、
誰だって構わんのだ。しかもアイツときたら、お気に入りの字句が
あるらしくて、その字だけは滅法上手に書くから、他の字が悪目立ち
してしまって汚く見えてしょうがない。
君は字がきれいとは言えないが、読めないような悪筆でもない。
チモフェイと親しい間柄のようだから、彼が外国から帰って来るまで
代わりに写字の仕事を引き受けてくれ。」
「――わかりました。……あのう、確か…チモフェイ老は海外出張
なんじゃ…」
「写字の仕事しかしていない、いやそれしかできない奴が海外出張?
誰がそんなことを…。
――チモフェイの奴。ぷっ。そうだな、ぷっ、そうしておこう。
チモフェイ海外出張、くくく……」
上司は机を手で叩いて時折身体を二つ折りにしながらこみ上げて
くる笑いと必死に戦っている。
いたたまれなくなった僕は一言、「お先に失礼します」と言って
帰路に着いた。

途中いつものごとくアーケードへ立ち寄った。
可愛い鸚鵡へ会いにだ。ルンゲウントレーバーの他にも色々
覚えさせた。最近では僕の姿を見つけると鮮やかな羽根を広げて
覚えた言葉を連呼するようになった。
るんげうんとれーばー るんげうんとれーばー
賢い。鰐なんかよりずっと可愛げがある。
こっそり持ってきた昼食の残り物を手の平に載せ、鸚鵡に与えた。
たわりしち すぱしーば(同士よ ありがとう)
意味をわかっていて言っているとは思えないが、嬉しい偶然だ。

檻の前から去ろうとすると、みすぼらしい恰好の男がこちらを
見ているのに気が付いた。一瞬視線があった。
が、バツが悪いので鸚鵡をまた見るふりをしていると
僕の方へ近づいてくるではないか。

続ク...

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2006/08/04//Fri.
続鰐Ⅲ(文豪に謝れッ企画)

『続鰐Ⅲ』です。前回と前々回分はこちらからどうぞ。
続鰐Ⅰ
続鰐Ⅱ

国外へ出張するチモフェイ老人は当てにならない、か。
それにしても良い服を着ていた。
洒落た、まるでどこかへ遊びへ出かけるかのような恰好
――いやそんな筈はないだろう。
我が国の外貨獲得の観光資源調査のためにルーレテンブルクへ出張、
しかも自分の休日を犠牲にしてわざわざ赴いてくれるとは
実に有り難い話ではないか。
そのような上司を持てたことを僕は誇りに感じる。
ドイツへ仕事で赴くチモフェイ老人に比べれば鰐腹なんて。
その鰐は近郊のアーケード街にいるのだし、呑み込まれた理由も
情けないじゃないか。忙しいチモフェイ老の手を煩わせようと
考えた僕達が馬鹿だったのだ。
ここは彼の手を借りず、僕とイワンの二人でどうにかしよう。

イワンにこのことを報告しようとアーケードへ戻ったが、
大勢の人がカルルヘンを囲んでいるため、イワンと話をできる
ような感じではない。
まあいい、人気が少なくなる時間帯にまた来ればいいのだし。
そう思って自宅へ一旦帰ろうと引き返してアーケードの人の
流れと逆に歩き出すと、向こう側から見知った顔がやって来た。
イワンの妻エレーナその人、右隣には背の高い男性が並んで
歩いている。カーキ色の軍服に身を包み、襟には星の徽章が付いて
いる。見るからに武骨そうな印象だ。
声をかけようか、いや次の伴侶候補との逢瀬を邪魔してエレーナに
つねられるのが落ちだ。そうでなくても男の方にあらぬ誤解を
与えてやり合うことになったら確実に僕が負けるのはわかりきって
いる。
口の先に出かかった彼女の名前を飲み込み、遠巻きに
彼女達の様子を窺った。
「…ねーえ、こんな沢山の人たちがいるんですもの、いつ間近で
見られるかわからないわ。それに、鰐なんて気持ち悪いだけよ。
人を飲み込んだんでしょう?おお、怖い。
……やっぱり帰りましょうよ。」
猫撫で声を発しながら大袈裟に交差させた腕を寒がりのように
さする真似をした。
「ははは、心配いらないさ。頑丈そうな檻に囲まれているし、
万が一のときは懐にあるこの銃で一発ズドン。
それで済む話じゃないか。
――にしても、本当に鰐の中に人がいるとはね。信じられないよ。
新聞社の人間が苦し紛れに作った架空の人物だと思っていたが、
間違いだったようだ。「事実は小説より奇なり」とはまさに
このことだね、うん。
あ、そうそう新聞のコラムによれば鰐腹のイワンは妻帯者
らしいね。いずれ妻と親友の三人で楽園のようなあの中に
住みたいって書いてあった……」
「嫌よ!!絶対に嫌!死んでも――」
「おいおい、どうしたんだい、急に?何だか自分のことのように
怒ってないかい?」
「え、あー、その……もし私が彼の妻だったら嫌だなあって
思ったのよ。ごめんなさい、いきなり大声出して。
はしたない真似をしちゃったわね。ああ、思い出したら
恥ずかしくなってきたわ……ごめんなさい、…私、気晴らしに
他の動物を見に行ってもいいかしら。こんな真っ赤な顔を
貴方に見られるなんて嫌ですもの。」
「気にすることなどないと思うが…。わかったよ、僕はここに
いるから、飽きたら戻って来るんだよ。」
男の承諾の声を聞くや、エレーナは頬にぺたぺたと手を当て、
火照りを冷ますような動作を幾度となく繰り返しながら、
僕のいる方へ歩み寄ってきた。

鰐の人垣から離れ、同じアーケード内にある鸚鵡の檻のそばへ
やって来た僕達。人気がカルルヘンに集中しているため、
鸚鵡を眺めている人間は殆んどいない。
そういう僕等も鸚鵡を見たいからここに来た訳ではなかったのだが。
伴侶候補からだいぶ離れたこの場所に来てエレーナは
大きな溜め息をもらした。
「…鰐腹が楽園の訳ないでしょう。若干の余裕があっても
住みたかないわよ。あんな所で楽園の住人、アダムとイブに
なれっていうの?いずれ消化されるのがオチだわ。
私にとって、あそこはユートピアというよりディストピアよ。
セミョーン、貴方はどうなのよ?」
「僕だってごめんだよ。イワンに勧められても住みたくなんか
ないさ。
今日の君のお連れさんは鰐腹の楽園にいたく興味がある
ようじゃないか…」
「それを言わないでよ。次の伴侶が見つかったと思ったのに、
あんなふうじゃイワンの二の舞になりそうね。
――ああ、頭痛い。考えるのが面倒になってきたわ。
いっそのことカルルヘンが死んじゃえばいいのに。鉄砲で撃たれ
たりとか病気にかかったりとか…」
そう簡単にはいかないだろう、夫が、イワンが死んでしまったら
どうするんだい、と聞いてみた。義理で。とうの昔に彼に対する
愛情が彼女に残されていないのを知っている。
「その時はその時よ。それが彼の運命。この鰐腹出張と同じでね。
私は彼と縁を切って残りの人生を他の誰かと楽しく暮らしたい、
それだけよ。」
女の不誠実さと潔さ。エレーナは事も無げに言ってみせた。
「そうかい。……そろそろ向こうへ行った方が良いんじゃない
のかい?待っているだろうし。」
「ううん、いいのよ。帰るわ、私。…なんか冷めちゃったし。
イワンがあれじゃ正式に離婚出来そうもないけど、戦役で名誉の
死を遂げた夫を持つ若後家にでも扮して新しい良い人でも
探すわよ。」
では御機嫌よう、と別れの言葉を口にして、エレーナは
元気な足どりでアーケードの出口へと歩いて行った。
彼女と別れてから改めて鸚鵡をじっくり眺めた。
鮮やかな朱色の羽根と鋭く曲がった嘴。
止まり木にとまって、時折羽根をつくろいながら
ごちゃごちゃ言っている。

たわりしち、すぱしーば、ぐーてんもるげん…
グーテンモルゲン?ああ、興行主がドイツ人だからか。
何度も繰り返されるから僕の方が調教されている気になってきた。

だんけしぇーん、びってしぇーん…
ありがとう、どういたしまして…餌やりの客へのお礼用言葉かな。
どうせ暇だから何か言葉を教えよう。誰も見ていないし。

トロッツデスレーゲンスハプトイアウンターリヒト!
(Trotz des Regens habt ihr Unterricht!)
長いから無理かもしれないな。
それなら、ルンゲウントレーバー(Lunge und Leber)、
これにしよう。しっかり覚えるんだぞ。
ルンゲウントレーバー、ルンゲウントレーバー……
「肺臓と肝臓?何を言っているんだね、君は――あ、」
カルルヘンの飼い主であるドイツ人興行主が口を挟んだ。
出会った頃よりずっと良い身なりをしている。
イワンの騒動でさぞや儲かったに違いない。
彼は相好崩して馴れ馴れしげな口調でこう言った。
「いやあ、一時はロシアで鰐興行なんて無理かと思ったが、
カルルヘンに人気が出たお陰で、この鸚鵡にも美味い餌を
やることが出来るようになったよ。鰐腹のイワンさまさまだね。」
そういえば、前に比べて動物達が肥ってきたような気がする。
カルルヘンは興行主だけでなくここに居る動物達をも養って
いるらしい。
イワンが去ってタダの鰐に戻ることになったら――今の様子では
考えられないが――どうなってしまうのだろう。
少し前の、寂れたアーケード街にいた弱りきった動物達の様子を
思い出した。
僕はイワンがあそこから出るのが一番いいことだ、とずっと信じて
いたが、そうでもないようだ。
何よりイワン自身カルルヘンの中を楽園と言っているのだし、
彼が飽きるまで好きなようにさせておこう。

とりあえず、チモフェイ老人に代筆の許可を得た訳だから、
今日のうち必要書類を書いて、明日にでも提出しなくては。
イワンには後で言っておくことにして、鸚鵡の檻の前から
立ち去った。






続ク...

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2006/07/05//Wed.
果てしなき流沙河の果てに

中島敦を草葉の陰で泣かせようキャンペーンの一環。
中島敦『悟浄出世』の本歌取りです。
興味のある方はどうぞ。

『悟浄出世』は古今東西の思想家をモデルとした
さまざまな妖怪が登場する作品で非常に面白いです。
私の作品など捨て置いて青空文庫『悟浄出世』を読んで下されば嬉しい限り。むしろそちら狙いですから。

題名のネタ元はこちら。

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5 昭和40年かー。

はあ、なつかし~。

続ク...

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2006/04/16//Sun.
『茶碗の中』の続きを書いてみる

小泉八雲の『茶碗の中』の続きを書いてみる企画に参加しました。
興味のある方はどうぞ。
時代がかった台詞を書くのは初めてなので見苦しい点はご寛恕
下さいませ。
イーゲル版『続茶碗の中』
…結構長くなったかも。
私が元にしたのはコチラに収められています。

新編 日本の怪談
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続ク...

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2006/03/11//Sat.
続鰐 Ⅱ(文豪に謝れッ!企画)

文豪に謝れッ!企画『続鰐』の続きです。
前回分はコチラ。
『続鰐 Ⅰ』

続ク...

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