イーゲルヒュッテ
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2005/09/15//Thu.
『バラバ』の後ろに『幻滅』が

図書館から借りてきた激古のラーゲルクヴィスト『バラバ』。
刊行されてから御年50年弱、相方が「バラバラ」と言ったのも
むべなるかな――
所々印字が消えていたり、破れていたりして悲しくなる。
新しい版もなかったから仕方ないけれど、図書館の地下書庫で
発見した時、後ろの棚にバルザックの『幻滅』があって、胸の内を
見透かされたような気がした。
岩波文庫で復刊されないかな。復刊するのは良いけど、
アンコールものはすぐ消えるのよね。
渡辺一夫訳『痴愚神礼讃』は「よっしゃ、復刊!」と思ったら
田舎のせいか書店に入ってこないし、結局東京行きの友人に頼んで
古本を買ってきて貰った。

さて『バラバ』。
私の持っている聖書には、新約聖書の「ヨハネによる福音書」
18.38「死刑の判決を受ける場面」にその名前が登場する。

「ピラトは、こう言ってからもう一度、ユダヤ人たちの前に出て
来て言った。「わたしはあの男に何の罪も見いだせない。
ところで、過越祭にはだれか一人をあなたたちに釈放するのが
慣例となっている。
あのユダヤ人の王を釈放して欲しいか。」すると、彼らは、
「その男ではない。バラバを」と大声で言い返した。
バラバは強盗であった。(日本聖書協会 (新)206)

イエス共々刑に処される筈だったのに、過越祭の民衆の要求に
よって助かってしまった極悪人バラバの運命――
放免された自分とあの男、バラバに言わせれば「あの男に罪が
ないことは、明白だった」のだが、助かってしまったのは強盗
の自分。
放免された時から、自分が助かったことに疑問を抱き、
それが頭から離れなくなってしまった。
「バラバを放免し、わたしを十字架につけよ」
贖罪の小羊の如く、人類の罪を背負って自分の命を犠牲にした
あの男。
強制されもしない苦しみを引き受け、磔刑に処されたあの男、
そのことを考えただけで胸糞が悪くなりそうだ――

バラバの悲劇は神を信じることが出来ない、信仰心を持てない
ことにあるのではないだろうか。
何を基準に価値を決めるかという場合の基準が定まらず、
常に揺らいでいる状態。
巻末の解説で尾崎義氏が次のように分析している。
「近代人一般にほかならないのである。
ときどきのエクスタシィにしか信仰がもてない、そして絶えず
信仰を裏切り、否定しようとする近代人、信じようとして信じる
ことのできない信仰を求める近代人なのである。」
(188頁14行目~16行目 岩波現代叢書『バラバ』)
盲信的とも言えるほど、神を崇められる集団やサハクに接近して、
その信仰の凄まじさを見せつけられて、時々感化されたりはするが、
信仰を持続するには至らない。
最後にはキリスト教徒迫害の犠牲になり、磔刑に処されてしまう
のだが、息絶える直前に言った言葉
「――お前さんに委せるよ、俺の魂を。」
この意味がまだ良く理解できていない。
もっとも、明確な答えなど用意されてはなさそうな感じだが。







過越祭(すぎこしさい)とはユダヤ教三大祭の一つで、
イスラエルの民が神によってエジプトから救出されたことを祝う
祭り。エジプト人の長子と家畜の初子を滅ぼした神の使いが、
イスラエル人の家を「過ぎ越し」たことに基づいた名称(出エジ
プト12:23-37)。ニサンの月の14日(太陽暦では3月末
~4月初め頃)に子羊を屠って焼き、種なしパンとともに食して
祝った。
初代教会は、キリスト自身をこの犠牲の子羊と見なし(1コリン
ト人の手紙5:7)、神の民の死から生命への過越を祝った。

(日本聖書協会『聖書』「過越祭」の項参照にて作成。)

小説 | trackback(2) | comment(10) |

comment

2005/09/15 17:38

どうやったら図書館の書庫に潜入できるのかと。
お宝を目の前にして、幸せな気分に浸りたい・・・

三島図書館には、「バラバ」はないんですよ。
いいなぁ、面白そう。
あきらめずに、地道に探すさっ。
それも楽しみの一つだし。

昨日から、やっと「巫女」を読み始めました。
ラーゲルクヴィスト特有の語りは、魂に訴えるものがありますよね。

くろにゃんこ | [ edit ]

2005/09/15 17:59

私が出入りしているのは一般公開されている地下の開架書庫です。本ッ当に古い本、かさばる全集本、一時の流行に流されて大量入荷したけれども、消費されて見向きもされなくなった本等々あります。
前に借りたT・S・エリオットの『荒地』なんて凄く古いうえに、
星印☆とか線とかいっぱい引いてあって、良い本なのに
ガックシ……。

『巫女』もまた読みたいです。文庫で買った方が良いかな。

イーゲル | [ edit ]

2005/09/16 20:34

こんばんは。
イーゲルさんがお読みになった『バラバ』は50年ものですか!
すごいなー、まさに「バラバラ」(←わはは!)寸前!
『巫女』もお気に召したら、文庫でお求めになったほうが良いですよ。
品切れになったら、次に重版が出るのはいつのことやら。っていうか、出ないかもしれないし! きゃー!!

私も書庫に入ってみたいですねー。
多分「これも!あれも!」と言って狂喜乱舞するんだろうなあ。はあ。

ntmym | [ edit ]

2005/09/16 20:45

ええ、年代モノです。
絶対新しい『バラバ』を入れるべきですっ!ってココで主張しても
仕方ないのですが。
>「あれも!これも!」ってよく言ってます。
ホクホク顔で借りていきますが、読みきれなくて…。

イーゲル | [ edit ]

2005/11/09 23:20

「バラバ」がバラバラ(ぷぷっ)になりそうで、怖かったです~。
数少ないラーゲルクヴィストのTB先ということで、こちらにTBさせていただきます。
ラーゲルクヴィストは深いっ。

くろにゃんこ | [ edit ]

2005/11/10 08:19

>1953年もの
ヴィンテージワインのような言われよう…。
私の方からもTBさせていただきます。
>ラーゲルクヴィスト
もっと読みたいのですがあまり流通していないのかしら。

イーゲル | [ edit ]

2005/11/11 09:48

実は、現在、山口氏から送っていただいた「ラーゲルクヴィストの世界」をPCに保存しようと作業中です。
よろしければ、メールをいただければ送りますよ。
作業の終了は、もう少し先ですが。
すごく参考になる資料ですのから、ぜひ読んで欲しいなぁ。

くろにゃんこ | [ edit ]

2005/11/11 19:46

何と嬉しいお言葉!!どうもありがとうございます。
早速、お言葉に甘えてメールを送信します。
メールの名義は相方なので、見知らぬ男性の名前で届いても
びっくりしないで下さいね。

イーゲル | [ edit ]

2007/08/21 14:21

遅ればせながら読みました。
私が古本で入手したのも40年ほど前のヴィンテージものの本でした。

piaa | [ edit ]

2007/08/21 23:18

piaaさんが読まれたのも相当古いですね。
岩波で復刊してくれればいいのに。

イーゲル | [ edit ]









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バラバ ラーゲルクヴィスト
ウィキペディアで、キリストの磔刑というキーワードで検索をすると、芸術・作品の項目では「文学では、ノーベル文学賞作家、ラーゲルクヴィスト著の『バラバ』が有名である」という記述があります。この小説は、過越祭の赦免を受けて、民意の元にその罪を免れた男、バラバの
//くろにゃんこの読書日記 2005/11/09 23:12

ペール・ラーゲルクヴィスト バラバ
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