イーゲルヒュッテ
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    リンクはフリーにござい。

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2005/09/24//Sat.
ネーデルラントのレンズ磨き  スピノザ

何度か挑戦したものの、眠たくなって仕方がなかった
スピノザ『エチカ 倫理学』に懲りずに挑戦中。
昨年の入院生活で眠れない時など重宝したが――
定義とその証明、Q.E.D.の連続で数学の証明や論理問題っぽい
体裁。
学生時代算数、数学の点数がかなり悪かった人間なので、
逃げ出したい気持ちでいっぱい。
消化不良ながらも無理矢理読み進め、
気付けばレム睡眠という陥穽にハマってばかりな
私を援護してくれるのがこの本。

スピノザ―実践の哲学
G.ドゥルーズ 鈴木 雅大
平凡社 (2002/08)
売り上げランキング: 64,349

図書館で借りて読み、気に入ったので購入。
(著者のジル・ドゥルーズについても良く解っていない私め。
気力があれば彼の著作にも挑戦してみよう。)

「実体はただひとつであり、それが無限に多くの属性をもつのだ
ということ、神とはこの自然そのものであり、(神すなわち自然
〔Deus sive Natura〕)、いっさいの「被造物」
〔森羅万象〕はそうした属性のとるさまざまな様態、すなわちこの
実体の様態的変容にすぎないのだということ――」
(第二章 道徳(モラル)と生態の倫理(エチカ)のちがいについて
32頁3行目~6行目)
これを読んだだけでも、かなり『エチカ』がとっつき易くなった
のだが、この直後(上の「」部分のすぐ後)こう続く。
「を想起するだけでは十分ではない。いかにこのテーゼにおいて
汎神論と無神論とが結合し、道徳的な神、創造者、超越者としての
神の存在が否定されているかを示すだけでは十分ではない。
むしろ、スピノザ哲学がそれゆえにスキャンダルを引き起こした
一連の実践的テーゼから出発しなければならない。この一連の
テーゼは、「意識」、「価値観念」、「悲しみの受動的感情」に
対する三重の告発を含んでいる。これはニーチェとの大きな類似を
示す三点でもある。じっさいそのためにスピノザは、すでにその
生前から、唯物論者、反道徳者、無神論者として弾劾されていた
のだった。」
(同章32頁6行目~33頁2行目)
神を総ての根本原因として捉え、総ては神無しには考えられず、
「被造物」〔森羅万象〕は神の持つ属性がとる様々な様態が変容
したもの――
神とは道徳の規範、創り主として崇拝する対象でなく、あくまで
事物の起源として考えるというのは、当時の世界ではごく少数派
であったろうし、異端的な考えである。

彼は、抑圧から解放された自由な精神を追究した。
「善悪のかなたにある、賞罰・功罪とは無縁のまったく無垢な生の
イメージをかかげていたからである」
(第一章 スピノザの生涯 13頁11,12行目)
強い存在に隷属し、それこそが自由であるかのように自ら
隷属する存在を求める民衆、主体的に生を生きることより、
生かされた存在であろうとするのは何故なのか。
それは自由を担うことの難しさだと思う。
(以前新々興宗教団体の在家信者だった女性が北朝鮮へ亡命を
希望しているというニュースが流れたことがあったが、
何か通ずるものがあるように思える)
『カラマーゾフの兄弟』の大審問官が復活したイエスを前にして
喋る(喋らされる)場面。
民衆は厄介なイエスが与えた「堪えがたい自由」という贈り物を
譲渡して、平伏す対象を探しているし、奇蹟に拠らない信仰の自由や
天上のパンなど、弱く卑しい人間種族には荷が重過ぎる。
地上にある三つの力、奇蹟と神秘と権威こそが彼らを幸福へと
導くことが出来ると言い、選択の自由を持て余して散らばった
羊どもを統べる国家が築かれると力説した。
イエスはそれを終始無言の状態で聞き、話し終えた大審問官に
接吻をして立ち去る。
人間を愛して、抑圧することなしに自由を与えたイエスだが、
大審問官の主張は十分に分かっていただろう。
大審問官は際限の無い自由と天上のパンの重要性を認識しながら、
人類を愛するが故に、奇蹟と神秘と権威によって人類を支配する道
を選んでいる、選ばざるを得ない状況――
熱烈にイエスを信奉し、荒野で自由な完全な人間となるために
苦行に励んできたが、それを台無しにするほど人類を愛してきた
大審問官の苦悩は計り知れない。
カラマーゾフの兄弟 上   新潮文庫 ト 1-9
ドストエフスキー 原 卓也
新潮社 (1978/07)
売り上げランキング: 5,635
おすすめ度の平均: 4.81
5 とにかく面白かった
5 疾走するトロイカ
5 書かれなかった幻の完結編…(上巻)

過保護的ともいうべき大審問官の主張は、人類を本当に幸福へと
導いているのだろうか。
堪え難い自由を取り除き、羊の群れを操るが如く民衆を支配する
ことはスピノザの理想とはかけ離れたものである。
生を主体的に生きる、「いっさいの虚妄や情念、死を超えてその
彼方にある生を透視させる」
(第一章 スピノザの生涯 30頁10,11行目)
善悪、功罪や賞罰といった概念に毒されがちな生からの解放、
そういった概念の無用さを悟るためのレンズ磨き――
磨き上げた曇りの無いレンズを手にしたとき、
果たして世界はどのように映るのか。

















読書 | trackback(0) | comment(2) |

comment

2005/09/25 07:46

名前だけは知っていたけど、イーゲルさまの記事を読んで、
なんとなく理解できました。
多分、読んだら私も爆睡すること間違いなし。
でも、ちょっと読んでみたいかも。

神の定義は、確かに異端的ですね。
無神論者とは違うと思うけど、キリスト教とはかけ離れているし。
何かに隷属し、その規範のなかの自由を選択するほうが楽なのはわかる気がしますね。

>「いっさいの虚妄や情念、死を超えてその 彼方にある生を透視させる」
これは、ユイスマンス「彼方」に通じるものがありますね。

くろにゃんこ | [ edit ]

2005/09/25 08:15

『エチカ 倫理学』は最初読んで、レム睡眠どころかノンレム睡眠になりそうな勢いでした。
『スピノザ 実践の哲学』を読んでやっとこの程度です。
まだまだ、消化不良の部分が多くアップした後に怒涛の後悔の念が押し寄せてきました。
>ユイスマンスの『彼方』に通じるものがありますね
是非、読んでみたいです。ユイスマンスは河出文庫の『さかしま』を手に取って、装丁のルドンの絵を眺めること位しかしていない不届き者です。
あの絵ってちくま文庫の『ロートレアモン全集』の表紙にもなってるんですよね。

イーゲル | [ edit ]









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