イーゲルヒュッテ
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  • 699円。タイ生まれ。
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    すっとこどっこいな文章und日常の切り売り。
    魚の皮、海老の尻尾を好んで食べます。
    リンクはフリーにござい。

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    相方(夫)、Y氏undH氏(息子)、不踊木偶〈オドラデク〉(不可視舞弄具ペット)。
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2005/05/21//Sat.
ホラー、ホラー・どんづまりネズミクン

メール『柳瀬尚紀!』を加筆修正して転載――
加筆修正箇所は〈〉部分

新潟から『地獄の黙示録』が帰還したので、
『闇の奥』も念頭に置いて再鑑賞。
前回よりは実り多からんことを、と恐る恐る再生。

ウィラード大尉の「壁が自分に迫ってくる」という台詞は
カフカの『Kleine Fabel』に登場する
ネズミの独り言に似ています。(昔の自分の迷訳がどこかに
あるはずですが、ここはプロの池内紀訳で。)

「やれやれ」
と鼠がいった。
「この世は日ごとにちぢんでいく。はじめは途方もなく広くて
恐いほどだった。
一目散に走りつづけていると、そのうち、かなたの右と左に
壁が見えてきてホッとした。
ところがこの長い壁がみるまに合わさってきて、いまはもう
最後の仕切りで、どんづまりの隅に罠が待ちかまえている。
走りこむしかないざまだ」
「方向を変えな」
と猫はいって、パクリと鼠に食いついた。
(『カフカ寓話集』岩波文庫64頁)

何処にも居場所がなくただ任務を待ち侘びる彼の閉塞感と
どうしようもなさ、
方向を変えることが出来なかった鼠のような。
戦場ではいつも故郷のことを考えていたのに帰還しても
歓迎されず、妻には離婚を迫られる始末。
結局またベトナムへ行くことになり、カーツの抹殺を命じられる。 
〈軍の上層部も巧妙で、任務を言い渡す前に彼の犯罪歴を
あげつらい、一層断れない状況を作り出している。
もし万が一彼が断ればこの罪状に応じた刑に服役せねば
ならないのは必至。〉
それと、あまり重要なところではないでしょうが、
ウィラードの宿泊先の廊下の隅に糸紡ぎ(?)をしている
老婆が一人。
『闇の奥』でマーロウが貿易会社へ行ったとき、
痩せた女性と太った女性が藁床椅子に座って黒い毛糸で
編み物をしている場面があったことを思い出しました。
カーツを殺した後の村人の態度は何なのでしょう。
単なる殺害者というよりも新しい支配者の誕生でも
目の当たりにしているかのような感じを受けます。
冒頭でウィラードが、「彼の物語は俺の物語、彼の物語が
懺悔録なら俺のも同じだ」
と言っているので、同じ種類の人間だという自覚が
あるのかもしれません。

(ドアーズのベスト盤の歌詞を眺めていたら
「対訳/柳瀬尚紀」の文字が。
『フィネガンズ・ウェイク』のあの方が『THE END』も
訳していたとは。映画は違う人が訳しているようですが。)

以上がメール部分。
昨日うっかり『Kleine Fabel』の厄、
もとい訳が書いてあるルーズリーフを発掘。
興味を持たれた方は、Bitte(どうぞ)――

付録:イーゲルドイツ語迷訳『Kleine Fabel』

『小さな寓話』
「ああ」と二十日ネズミは言った。
「この世界は日に日に狭くなっている。初めのうちは世界が
(私が)不安を抱くほど非常に広かったので、遠くの方に
左右の壁が見えて幸せだった。しかしこの長い壁がお互いに
近付いてきて、私はもう部屋の隅っこにいてそこの罠の中へ
走る。」
「お前は走る方向を変えねばならなかった。」
と猫は言い、二十日ネズミを貪り食った。

原文も載せたいけれど、未だにウムラウトとエスツェットの
表記方法を知らないので今回は無理――あしからず。

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