イーゲルヒュッテ
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イーゲル

  • Author:イーゲル
  • 699円。タイ生まれ。
    瞳は少年、ところによりおっさん。
    すっとこどっこいな文章und日常の切り売り。
    魚の皮、海老の尻尾を好んで食べます。
    リンクはフリーにござい。

    よく出てくる人たち(一部人外)
    相方(夫)、Y氏undH氏(息子)、不踊木偶〈オドラデク〉(不可視舞弄具ペット)。
ごにょごにょ

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2006/08/13//Sun.
続鰐Ⅳ(文豪に謝れッ企画)

続鰐Ⅳでござい。過去の分はこちらです。
続鰐Ⅰ
続鰐Ⅱ
続鰐Ⅲ
「カルルヘンの内部だって?まあ、そうだな一言で言えば
暗い、かな。口を開けてくれれば少し明るくなるけど、
おおむね真っ暗。内部がどうなっているかなんて知らないよ。
暗いから。
でも、だからと言って特に不都合はないし、居心地も良好さ。」

日を改め、イワンにカルルヘンの内部の詳細を聞いた僕は
以前書いた書類にこう書き加えた。
鰐ノ腹中、概ネ暗シ。内部ノ様子、詳細不明ナレドモ、
居心地良好也。


鰐の中は住人のイワンにも不明瞭な所らしい。
カルルヘンが昔食べた動物の骨等が散乱していたら楽園などとは
言えないだろう。何も見えない方が幸福かもしれない。
鰐に呑み込まれて傷一つ負わない、それどころか住んでいることを
知ったら彼のベリンスキイはなんて言うだろう?
そんな莫迦な!非現実じみている!書き直せ!とか?
――現実に起きていることだからしょうがない。
そのまま提出したが、別段何の問題もなく処理され、彼は出張中
の身となった。
イワンの出張届を提出して早二週間が経った。
アーケードへは毎日行っている。鸚鵡に会いに、だ。
「ルンゲウントレーバー」を教え、それを喋るようになって以来
こいつが急に可愛くなってきた。もっといろんな言葉を教えたいと
思って足繁く通っている。
カルルヘンの所へも行くけれど、イワンと言葉を交わすことは
あまりない。もう鰐なんてどうでもいい。

午後5時半。仕事を終えて椅子から立ち上がると、上司に名前を
呼ばれた。何かやらかした?ここ一ヶ月の自分の勤務態度を
頭の中で検めてみたが、思い浮かばない。
恐る恐る上司に尋ねてみた。
「…あ、あのう何か。…仕事で不備でも?そ、それとも」
「――やけにびくついているね。」
「僕が呼び出されるのは、大抵叱られる時ですから。」
叱られるというか怒られるというか、八つ当たりされるというのが
一番適当か。どうやら違うらしい。少々被害妄想が過ぎたようだ。
「セミョーン、怒りはしないよ。それとも…何かやらかしたのか?
冗談だ。イワンは出張中だし、チモフェイも外国へ行ったきりで
帰って来ないだろう。本来なら欠員の補充をするべきなのだが、
人件費も馬鹿にならんだろう。募集をかけたところでどんな
奴が来るかわからないし、使えん奴に給料を払うのはまかりならん
からな。
そこで、だ。君にはこの二人の職務の穴埋めをしてもらいたい。
引き受けてくれたなら君の給料も上げてやる、どうだ悪くない話
だろう?」
イワンと僕は同期だし部署も同じだから、彼の分の仕事が増えても
それほど苦にはならなそうな気がするが、もう一人分、
チモフェイ老人の重要な仕事までやらされるのか。
老は自分の仕事がいかに有益な仕事かをよく聞かせてくれていた。
「イワンの分はどうにかなりそうですが、チモフェイ老の分は
若輩の僕には荷が重いのではないでしょうか。誰か他の方に…」
「荷が重い?はは、チモフェイの仕事はなあ、必要書類に必要な
事項を写字するだけ、それだけだぞ。
こんな仕事、字さえ書ければチモフェイじゃなくたって、
誰だって構わんのだ。しかもアイツときたら、お気に入りの字句が
あるらしくて、その字だけは滅法上手に書くから、他の字が悪目立ち
してしまって汚く見えてしょうがない。
君は字がきれいとは言えないが、読めないような悪筆でもない。
チモフェイと親しい間柄のようだから、彼が外国から帰って来るまで
代わりに写字の仕事を引き受けてくれ。」
「――わかりました。……あのう、確か…チモフェイ老は海外出張
なんじゃ…」
「写字の仕事しかしていない、いやそれしかできない奴が海外出張?
誰がそんなことを…。
――チモフェイの奴。ぷっ。そうだな、ぷっ、そうしておこう。
チモフェイ海外出張、くくく……」
上司は机を手で叩いて時折身体を二つ折りにしながらこみ上げて
くる笑いと必死に戦っている。
いたたまれなくなった僕は一言、「お先に失礼します」と言って
帰路に着いた。

途中いつものごとくアーケードへ立ち寄った。
可愛い鸚鵡へ会いにだ。ルンゲウントレーバーの他にも色々
覚えさせた。最近では僕の姿を見つけると鮮やかな羽根を広げて
覚えた言葉を連呼するようになった。
るんげうんとれーばー るんげうんとれーばー
賢い。鰐なんかよりずっと可愛げがある。
こっそり持ってきた昼食の残り物を手の平に載せ、鸚鵡に与えた。
たわりしち すぱしーば(同士よ ありがとう)
意味をわかっていて言っているとは思えないが、嬉しい偶然だ。

檻の前から去ろうとすると、みすぼらしい恰好の男がこちらを
見ているのに気が付いた。一瞬視線があった。
が、バツが悪いので鸚鵡をまた見るふりをしていると
僕の方へ近づいてくるではないか。

本当は今回で完結するはずだったのに!
次回で終わらせますので。

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