上弦の月の連祷
不眠症たちに
祝福される月、
羊飼いエンディミヨンたちの
白いメダル、
すべてのものがしりぞける
化石の天体、
嫉妬深い墓、
偉大な神秘たちの
船出する埠頭、
聖母で処女
ディアナ・アルテミス、
ぼくらのいくつかの大酒宴の
聖なる見張り人、
トランプの賭、バカラの
凶兆、
ぼくらの展望台での
ひどく倦んだ貴婦人、
蛍たちを
かきたてている媚薬、
最後の詩篇の
薔薇形窓、穹窿形、
ぼくらの贖罪の
美しい猫眼石、
ぼくらの信仰の
仮繃帯所たれ!
大赦祭の
羽根布団たれ!
******************
下弦の月の連祷
喪中の心たちに
色眼をつかう、
アルカディアの
聖体。
白いピエロたちの
洗礼盤。
ぼくたちの歴史の
終りの聖体器、
無なる全体の
臍――放射線状組織、
無感動な者たちの
鏡 そして聖書、
無限を
家具に備えたホテル、
死んだ世界の
スフィンクス またジョコンダ、
幸福な無の
カナーン、
無、
図書館の書物のメッカ、
レテの泉、憂さ忘れの樹(ロトス)、
「われらのねがいをかなえたまえ!」
今日は十三夜で、月がとても綺麗です。
月と言えばこの人、ジュール・ラフォルグ!
ということで『聖母なる月のまねび』から
「上弦の月の連祷」と「下弦の月の連祷」を引用しました。
他にも月に関する詩が沢山あります。
まさしく月光詩人。
全集が出れば良いのにな――。
(せめて「惑星地球は無用なんです」の一文が含まれた書簡が
載っているような本があれば良いのに。)
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