イーゲルヒュッテ
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イーゲル

  • Author:イーゲル
  • 699円。タイ生まれ。
    瞳は少年、ところによりおっさん。
    すっとこどっこいな文章und日常の切り売り。
    魚の皮、海老の尻尾を好んで食べます。
    リンクはフリーにござい。

    よく出てくる人たち(一部人外)
    相方(夫)、Y氏undH氏(息子)、不踊木偶〈オドラデク〉(不可視舞弄具ペット)。
ごにょごにょ

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2006/12/17//Sun.
続鰐Ⅴ(文豪に謝れッ企画)

これまでのお話はこちら
続鰐①
続鰐②
続鰐③
続鰐④
職場での上司の笑う様子を思い出し、こみ上げてくるものもあったが、
努めてにこやかに振るまった。
みすぼらしい服装。出発した時とは雲泥の差。どうしたんだろう。
アカーキイ・アカーキエヴィッチを地で行く外套、いや半纏か……。
見事なまでにつぎはぎだらけだ。
賭博でスって来たのだろうか。〈前例〉に無いほどに――
「――お久しぶりですチモフェイさん。いつお戻りになられたんです?」
「セミョーン!ほう、今帰りか。カルルヘンを見に来たんじゃな?」
いえ、鸚鵡ですと正直に答える余裕も与えず彼は矢継ぎ早に続けた。
「イワンが心配じゃろ。何せ鰐と言えば獰猛な動物じゃからな。
今はこうして同居状態が続いている訳じゃが、いつ食べられても
おかしくはない状況には変わりは無いのじゃぞ。
そこでじゃ。ワシがイワンが食べられないように見張ってやろうと
思うのじゃが、どうかの?なあ、どうかのう?この考えは。」
なあ?セミョーン?悪くないじゃろう――
言い寄って来る姿が憎々しい。
心配だったなら、なぜもっと早いうちに言わないのか。
僕に言うより直にイワンに言った方が話が早いだろうに。
「……良いんじゃないですか。近くで見張っていれば、イワンも
話し相手が出来て退屈せずに済みますしね。」
「そうじゃろ、そうじゃろ。」
「でも、……どうせだったら一緒に鰐腹に住んであげる方が
寂しい思いをさせずに済むんじゃないでしょうか。
幸いまだ鰐腹には余裕があるそうですし――必要書類は僕が代筆して
おきますから。……大丈夫ですよ。書洩らしなんてヘマしませんから。
滞在の理由は……異文化交流で構いませんよね。」
一瞬キョトンとした表情になったチモフェイ老。
「…はっはっはっ面白い。冗談が過ぎるぞセミョーン。」
本気だとは思われなかったらしい。
彼があそこに住んでくれればイワンに鰐腹生活を誘われることも
なくなるだろうし、何より今彼と顔を合わせている状況が気を滅入
らせていた。
なら、冗談ということにしておくか。
「すみません。調子に乗ってちょっとふざけちゃいました。」
「んー、それでだな、そのことも含めておぬしと色々話し合いたいと
思ってのう。
これから、おぬしの家で相談するというのはどうじゃ?」
「は?なぜ僕の家でなんです?――別に構いませんが…ここからなら
僕ん家よりもチモフェイさんのお宅のほうが近いではありませんか。
この間おっしゃっていた美味しい紅茶も頂いておりませんし……」
「に、荷物が片付いておらんのじゃ。長旅だったし、向こうで土産を
沢山買い込んでしまっての!」
「家に溢れかえるほど?まあ、それはさすがになさそうですが、
――わかりました。じゃあ、僕の家で――」
……ホッ、良かったわい。
「え、今何かおっしゃいませんでした?」
「何にも言うとらんぞ。空耳じゃ。……セミョーン、おぬしも相当疲れてるんじゃなあ。
幻聴が聞こえるとはのう。そんな日は酒でも引っかけて寝るのが一番じゃて。」
「そうですね。鰐の方も仲良くやってるようですし、今日はもう帰りますか――
ところでその恰好、」
「っ!!……あ、ああ!ルーレテンブルクではこんな恰好が
流行ってるんじゃよ。
向こうでは、わざと新品の服につぎをあてたり、穴の開いたズボンや
コートを着るのが最先端なんじゃよ。どうかの、ワシの恰好は?」
彼の着ているものはどう見ても古着――かなりボロボロのだ――。
「まあ、僕は…おしゃれには疎いんで……。」
寒風吹きすさぶこのロシアでこの〈半纏〉は厳しいだろう。
他の通行者の目が気になったので自分のマフラーを巻くよう手渡すと、
要らんとつき返されること二回。三回目にしてやっと首に巻いてくれた。
そんな紫色の唇で断られる身にもなって欲しいものだ。

帰宅してすぐに暖炉に火を熾すと彼は真ん前に陣取った。
サモワールで紅茶を入れるとティーカップに信じられないぐらい
沢山の杏のジャムを入れ、見ているだけで胸が――こんなに
甘党だったかしらん。
「はあ、温まるのうセミョーン」
封を開けて間もないジャムが壜の中に半分程度しか残っていない。
こっそりジャムをテーブルの下に隠した。
チモフェイは紅茶を音を立てて飲み干すと、ティーカップの底に
沈んだジャムをスプーンで掬って幸せそうな表情で舐めとる。
僕はといえば、ジャムなしの渋い安い紅茶を表情を崩さずに飲むのが
精一杯だった。
「チモフェイさん、先程の話の続きなんですが―――おっと、
誰か来たみたいですね。」
さっきよりも呼鈴の音が一段と激しく聞こえる。急かしているのか?
恐る恐るドアを開けると、見慣れないふくよかな中年女性が立っていた。
「ウチの人ここに居るんでしょ。隠しても無駄よ。
こっそりアンタ達の後をつけてきたんだから。」
荒げはしないものの凄みを感じる低めの声。
見当はついているが、社交辞令的に聞いてみた。
「ええと――失礼ですが、もしかしてチモフェイさんの奥様で?」
「そうだけど……そういうアンタは何よ?」
「私、チモフェイさんの部下で、セミョーン・セミョーヌウィチと
申します。チモフェイさんにはいつもお世話になって……」
「アンタ、あの禿げここに匿ってるの?もしかして?」
「いいえ、今日仕事の帰りにばったりお会いしたんです。
僕の同僚であり、チモフェイさんにとっては可愛い部下である鰐腹の
イワンのこれからを二人で話し合おうってことで、家へ来て頂いた
んですよ。」
「へえ、そうなの。お優しいこと。しばらく家にも帰って来ないで
何しているかと思えば、貴方って本当にお仕事熱心なのね。」
うって変わった優しい声音が背筋を凍らせる。
つま先立ち、横柄に腕を組んで家の奥を覗きこもうと必死だ。
彼女の言動から察するに、しばらく家に寄り付いていないらしい。

今回で終わらせるはずだったのに~。(この台詞前にも言ったなあ。)
終わらせたら……こことそことあそことあそこも直そう!(はあ。)

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