イーゲルヒュッテ
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  • Author:イーゲル
  • 699円。タイ生まれ。
    瞳は少年、ところによりおっさん。
    すっとこどっこいな文章und日常の切り売り。
    魚の皮、海老の尻尾を好んで食べます。
    リンクはフリーにござい。

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2007/09/23//Sun.
新アラビア夜話

新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫 Aス 2-1)
スティーヴンスン 南條 竹則 坂本 あおい
光文社 (2007/09/06)
売り上げランキング: 8185

『新アラビア夜話』。スティーブンスンは『ジキル博士とハイド氏』を
中学生の頃に読んだ記憶があるけれど、然程好きでもなく。
『宝島』は名前しか知らないし。
すべては中島敦のせいです!
そこまでではなくても八割方はそうです。
残りは「アラビア」という言葉のエキゾチックな響きによるもの――
中島敦がスティーブンスンの西サモア島での移住生活を
題材に取った『光と風と夢(ツシタラの死)』を著したこと、
彼が持病喘息の快癒を願って南洋庁での勤務を希望し、
南方のパラオへ赴いたのはスティーブンスンの影響を受けているから
=彼の作品にもその影響が……
動機が不純ですね。スティーブンスンを純粋に楽しみたいという
気概が寸とも感じられませんが読後の感想です。

『新アラビア夜話』では博学のアラビア人が語った奇妙な物語を
スティーブンスンが書き記すという体裁を取っています。
『自殺クラブ』はボヘミアの王子フロリゼルとその従者ジェラルディーン大佐を中心に物語が展開。
「クリームタルトを持った若者の話」は題名がチョットふざけた感じも
しますが、中々スリリングな物語。持つべきものは優秀且つ従順な臣下
ですな!(『赤い部屋』や『木曜の男』等秘密クラブもの(?)は結構好きです。)
「医者とサラトガトランクの話」ではジェラルディーンの弟が登場する
のですが……ううむ、こんなのって――当方ジェラルディーン好きなので彼が不憫に思われました。
「二輪馬車の冒険」では黒幕「自殺クラブ」の会長との決闘、勝利、
なのですが、勝者のフロリゼル王子のこの台詞。
「おまえの弟を殺した男の血がついている。喜ばしい光景(ながめ)の
はずじゃないか。それなのに、われわれ人間は何と奇妙にできているのだろう!
復讐を果たしてまだ五分と経たないのに、わたしはこのさだめなき人生という舞台では、
復讐さえ可能なものかどうかを疑いはじめているんだよ。あの男のした
悪事を埋め合わすことのできる者がいるだろうか?あの男が巨万の富を
築いた生涯(今われわれがいる家にしても、あいつの家だったんだ)――その生涯も今となっては、永久に人間(ひと)の運命の一部となった。
だが、たとえわたしがこの世の終わりまで剣を突きつづけたとしても、
ジェラルディーンの弟は生き返らないし、他の罪もない百千の人々は
以前恥辱を蒙って、堕落の淵に沈んでいる!人間の存在というのは、
奪えば儚く、用いれば実に大いなるものだ。ああ!この世に目的を
達するほど幻滅をおぼえさせるものがあるだろうか?」
(140頁2行目~12行目)
自殺クラブの会長に復讐を遂げた王子に残されたのは言いようの
ない虚しさ。そんな彼をノエル博士は「神の正義が行われたのです」
と慰めました。気休めにしかならなくとも彼は相当嬉しかったのでは
ないでしょうか。

フロリゼル王子の奇妙な物語を全部書くと地球上がその冒険話で
埋まってしまうそうなんですが、『ラージャのダイヤモンド』は
割愛するには余りに惜しいということで今世に伝わっているようです。
このホラ吹き加減がたまりません。
世界でも六番目に有名なダイヤモンド、「ラージャ(藩主)のダイヤモンド」と
呼ばれる大きなダイヤモンドを手にした人間は次々と事件に巻き込まれていく――
(世界で六番目って微妙……と思うのは私だけでしょうか。)
問題のダイヤモンドの形状はというと、
「大きさは家鴨の卵ほどもあり、形は美しく、瑕一つなかった。陽射しを浴びて
電光のような光彩を放ち、内部(うち)に無数の焔を含んで手の中に
燃えているようだった。(中略)彼は宝石のことは何も知らなかったが、
「ラージャのダイヤモンド」は誰の目にもそれとわかる逸品」
(189頁8行目~11行目)
所有する人の運命を狂わせていく悪魔の石、ラージャのダイヤモンド。純朴なハリー・ハートリーも、学識豊かな聖職者サイモン・ロールズも関わらなければもっと平穏な人生だったかもしれませんね。
最後に割と得をしたように見受けられるのはフランシス・スクリムジャーと
ヴァンデラー夫人かしらん。
フロリゼル王子はダイヤモンドの窃盗容疑をかけられ、ダイヤ絡みでは
ありませんが、最後には王子の肩書きを失ってロンドンのルーパートで煙草屋の店主になっています。
と言っても、彼はボヘミア王国を長期間留守にして公務を怠っていた
ので当然と言えば当然なんですが、急に現実に引き戻さなくてもねえ。
そんなところも好きです(笑)。

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